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ただ生きるだけでは足りないから学ぶ

私たちにとって、「生きる」ということは当たり前のことです。「生きる」ということは自分自身が存在するための最低要件ですが、生まれた瞬間から私たちはそれが保証されているといってもいいでしょう。

自然界では、生き残るためにもさまざまな運や技術が必要になります。私たち以外の動植物は、ただ生きるためだけにさまざまなことを学び、あるいは本能で知っていて、自分より強いものから身を隠したり、自分より弱いものを捕食したりしながら生物の摂理に従って生きています。私たちの目に見えないいところでも、さまざまな生き物が生きるために切磋琢磨しています。今、この瞬間も生き物が生まれては死んでいるのです。私たち人間は、そのような厳しい環境から自らを解放することができた生き物なのです。

それはひとえに私たちの「知恵」があるからです。生きるための知恵、種を種として守るための知恵、人間が人間として発展していくための大切な知恵を、私たちは世代を越えて蓄積してきたのです。現代に生きる私たちは、そのような知恵に守られています。私たちが自らつくりだしたこの社会、システムは、安全に生きていくため、無事に成長するために人間に優しくできているのです。成長してからも、働けば生きていけるのです。働けばお金を得ることができて、そのお金で生活することができるのです。もちろん収入の差はあります。どのような仕事で、どのような地位にいれば生活が豊かになるのかを、ずっと考えることになるでしょう。自分が生きていれば良いと考えていた時期から、やがて自分の家族を持つに至れば、どのようにすればより良い暮らしが手に入るのか、自分の大切な人と豊かな暮らしを送ることができるのかを考えることになるでしょう。

そのようにして、私たちは生きることを「当たり前」として暮らしているのです。そして「ただ生きるだけ」では足りないから、もっといい生活、もっと良い暮らしがあるのではないかと、自分を磨くのです。自分を磨くことで、より良い生活が手に入るのであれば、それで良いのです。自分を磨くことで、勉強することで何か今とは違う状況が作り出せるのであれば、それで良いと考えているのです。だから学ぶのです。だから今の状況だけに満足することがないのです。私たちは日々考えます。日々自分を磨きます。自分がどのようにして生きていけはいいのか、自分がどのようにして暮らしていけば良いのか、考えるのです。

生きることが保証されるだけで、私たちは高次元の考えを抱くようになったのです。生きるために費やしていた時間、知恵を、文明や社会の発達のために使うことができるようになったのです。それによって私たちは自分自身を、自分が暮らしている社会を、自分のまわりの人を、世の中を、もっと「良くしたい」と考えるようになったのです。だから文明は発達しています。だから社会は発達しています。生きるためのことが満たされたから、私たちは豊かな暮らしを自分たちの手でつくり上げることができるようになったのです。ひとりひとりが毎日新たな発見をし、ひとりひとりが毎日新たな道を見つけることで、その積み重ねでより良い社会が出来上がるのです。そうして文明は発展していくのです。

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